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「ごめん、やっぱりわかんねぇ」 「……そうか」 それきり狐は何も言わずににいなの後を静かに付いてきた。 明らかに落ち込んでいるのが分かって、にいなも自分の記憶力の無さに落ち込んだ。 やがて着いたのはにいなの祖母の家。 祖母が亡くなってからは誰も住んでいない古い一軒家。 幼い頃に少しだけこの土地で過ごした事がある。あまり記憶はないが、祖母は優しい人だった。 その祖母が亡くなった後、家族でこの土地から引越したが家だけはずっと残してあった。 しかし誰も住まなくなった家は老朽化が進み、取り壊すという話になった。 その話を聞いた時、何故かどうしてもそれは嫌だと思い反対をした。 ここを壊したらいけない気がしたのだ。殆ど直感の様なもので、親からしてみれば子供のワガママにしか聞こえなかっただろう。 そのタイミングで父親の海外勤務が決定した。家族で一緒に行こうと言う父親に、海外は無理だと断った。 この変なモノが見えたり、まとわりついたりする体質が海外でどう作用するかわからず怖かった。 両親はにいなの体質を知らなかったが、何となくは気が付いていた様子だった。頑なに海外行きを嫌がるにいなに父親が渋々出した条件が、この祖母の家に住んで管理する事だった。
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