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突然すぎて飛び込んで来た狐を受け止めてしまった。 何で名前を知っているのか、こういう人間じゃない類の事はよく分からない。 「にーな、にーな、逢いたかった、にーなっ」 頬を擦り寄せて歓喜する狐を呆然と見ていた。ふわふわした尻尾が揺れて狐の腕と同じようににいなの身体に絡まってくる。 今まで触った事の無い、なんとも言えない柔らかい感触。もふもふでふわふわで、暖かくて安心する。 元々、こういうもふもふとした手触りの物が好きなにいなはその尻尾の感触にさっきまでの緊迫感を解いて、尻尾を撫でた。 最高に気持ちいい。この尻尾に包まれたらゆっくり眠れそうだ。それにこの白い狐の周りの空気は羽根が生えたように軽くて、今にも浮かび上がりそう。 「にーな、相変わらず尻尾が好きだな。いっぱい触っていいぞ?にーなはオレの嫁だからな」 ニコニコしながら尻尾を巻き付けてくる狐の言葉に耳を疑った。 今、この狐は「オレの嫁」と言ったか?嫁の意味が分かって言っているのか?二次元のアニメの話と間違ってないか? そもそも、この狐はどうやら自分の事を知っているみたいだ。こっちはこんな人に化ける狐の事など知らないのに。
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