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「美しく成長したな、にーな。しかし、まるで男のように凛々しいな。幼い頃は愛らしかったのに」
「……は?」
「全然気にはしないぞ?にーなはにーなだからな。どんな姿でもオレの気持ちは変わらない、安心して嫁に来ていいからな」
何を言っているのかさっぱり分からない。
男のように凛々しい?当たり前だ、男なのだから。誰がどう見たって立派な男だ。なんだったら、イケメンの類だ。
それに嫁とはなんだ?この狐は自分を嫁にしようというのか?確かに美人で女みたいに綺麗だけれどこの狐も男だ。いや、オスか?
とにかく、嫁になんていくつもりは毛頭ないし、女だと勘違いしているのも訂正しなければ。
しかしこの言い方、どうやら狐の方はにいなを知っているみたいだ。幼い頃と言っていた。昔、ほんの少しだけこの土地に住んでいた頃に会ったのだろうか。
一度に色々考えすぎて何から話せばいいのか分からない。もふもふの尻尾だけが癒しだ。出来ればいつまでも触っていたい。
『じゃあ、オレの嫁になればいい。そうすればいつでも触れるぞ』
ふと、脳裏にそんな声が響いた。
これは一体、いつの記憶だったか。
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