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「ねぇ、ヒロシ。ちょっといいかな?」
「何?お母さん」
息子ヒロシは学校の宿題をさっさと終わらせて、ドストエフスキーの「罪と罰」を読んでいた。
「あのさ、今お母さんが書きかけてる小説なんだけどね、なかなか続きを思いつけなくてね、悪いんだけどさ、ヒロシが書いた方がきっと面白くなると思うんだよね?」
「つまり、お母さんは、自分が引き受けた仕事を途中で投げ出して、中学生であるこの僕に無償でやらすわけ?甘いんじゃないの?」
「いやいや、勿論、お小遣いはあげるわよ」
「中学生だからって馬鹿にしてるんじゃないの?もしミリオンセラーになったらその儲けの半分は貰わないと僕が損するよね?」
「じゃあ、ヒロシ。自分の名前で小説書きなさいよ」
「それじゃ売れないよ。名前がまだ有名じゃないし」
「そうでしょ?だからお母さんも不本意ながら仕方なくゴーストライターしてるのよ」
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