最初の1カ月

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――午後―― 午後になり、執務もある程度片付いたとき、扶桑の言葉を思い出して訓練場に行くことにした 「ちーっす! 提督さん暇なのー?」 「鈴谷、言葉が悪いですわよ。」 「まぁ、見ての通り暇だから来たんだ。 気にしないでくれ。」 訓練場は海に作られていて、走行訓練、射撃訓練ができるらしい。 「お前らは訓練か?」 「そーだよー。 この鈴谷様の華麗な射撃を見てってよ!」 そして、鈴谷は助走をつけて、一度的から離れ始めた。 「いっくよー!!」 そして、遠くからこちらの方に移動し始めた。 ドンッ ドンッ ドンッ そして、すれ違いざまに80m先の的を撃ち始めた。 おそらく反航戦を想定しての射撃だろう。 鈴谷は10発中7発当てて私のところに近寄ってきた。 「どうよ! 提督にはできないでしょー!」 「え? まぁ、海の上を歩く時点で俺にはできないけど……ちょっと熊野、こっち来てくれ。」 「え? よろしいですけど……」 熊野を私の近くに立たせた。 「この連装砲ってまっすぐ撃ったらどれくらい届くんだ?」 「うーん……だいたい80mくらいですかね。」 「なるほど……ちょっと貸してくれないか?」 「いいですけど、変なことしないでくださいね」 熊野から20.5cm連装砲を貸してもらった。 意外に軽いものなんだな。 私は連装砲を構えて、100m先の的に狙いを絞った。 風は……なし。 距離は100m位だから上ぎみに狙って…… 「ちょっとちょっとー! あんな遠くの的なんて当たるわけないじゃん!」 ドンッ! 砲弾は綺麗な放物線を描いて飛んでいき、的の中心に当たった。 「うっそ……でしょ……」 「当たり前だ。 俺もちょっと前まで海軍にいたんだからあれくらいは当てられる。」 「すごいですわ提督! 熊野に教えていただけまして?」 「あぁ、別にいいぞ?」 「鈴谷にも教えてー!!」 それから、鈴谷と熊野に射撃の指南をした。 海軍での知識と射撃の知識をこういう風に使うとは思わなかったがな。
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