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――三日目――
あのあと、時雨から決闘を申し込まれた。
時雨は「上司が僕よりも弱いのは嫌だから力を見してよ」と言っていた。とんでもない問題児じゃないか。
決闘の噂は瞬く間に広がり、鎮守府中で知らないものは居ないくらいまでに知れ渡っていた。
俺の身を心配するものもいれば、決闘を申し込んでくる奴までもいた。
俺は『演習』とだけ言ってそれ以上の事はしらを切った。
俺はある程度の公務を終えて、明石の所を訪れた。
「お! 提督ー!待ってましたよー!」
明石は嬉しそうに手を振っていた。
誰のせいでこんなことになったか本当に知っているのか?
「明石、あれの事についてだが…」
「もう準備済みです! 早速訓練場に向かいましょう!」
俺と明石は何丁かの艤装を持って訓練場に向かった。
○訓練場○
訓練場には偶然誰も居なかった。
しかし、的は何個か立っており、訓練の準備はされていた。
「まずはこれですね! 射程は200mです!」
まずは12cm単装砲によく似た艤装を渡された。
意外に重たい。 これを駆逐艦は二個も三個も持っているのか。
「中にはペイント弾が入っているので、威力は無いに等しいです!」
試しに射程の半分の100mの的を狙って撃ってみた。
が、的から大きく外れて、海に弾が沈んでいった。
「かなりブレがあるな、これでは扱いづらい。」
「単装砲の改修したやつだとブレが大きいんですね!」
明石はメモをとり、次の艤装を準備し始めた。
「次はこれです! かっこいいでしょ!」
次は鎧みたいなのを渡された。
まさかこれ、着るのか?
「イメージはアイアンマンです! 是非、藤原啓二さんになったつもりで着てください!」
「却下だ。 俺は別にマーベルヒーローになりたいわけではない。」
「えー! かっこいいのにー……」
明石は残念そうに鎧みたいなものを片付けながら、次の艤装を出し始めた。
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