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俺は姉貴の事を女として愛してたり、男同士で健一と愛し合ったり、"普通"ではないことくらい十分解っているつもりだ。
だからこそ、なるべく目立たない様に"普通"でいられるように神経をすり減らしながら生きてきた。
だけどもう限界かも知れない。
俺が愛してる健一と美玲に裏切られたんだから。
生きる支えを失ってしまった俺はどうしたらいい?
俺の心の奥底に封印してきた怪物が覚醒しようとしているのを感じる。
いままで自制心でなんとか抑え込んで来たが、もう無理だ。
どす黒い闇をまとった怪物が産声を上げるのを止める事なんてできなかった。
あの二人に復讐すること、それが今の俺の生きる支えだ。
まずは両親を追っ払うために温泉旅行をプレゼントし、美玲と二人きりの夜を過ごす。
「たまには姉と弟水入らずもいいだろ?結婚する前にさ」
「結婚しても姉と弟には変わりないでしょ。結婚したら三人で仲良くしましょうよ」
冗談じゃねえ……なにが三人仲良くだ。
「そうだな。義理の兄貴になる人に早く会いたいよ。それじゃ今夜は二人で飲み明かそうぜ」
美玲の酒に薬を盛って身体の自由を奪い、嫌がる美玲を抱いた。
近づく男は俺が蹴散らしてきたからずっと清らかだったはずの美玲の処女を奪ったのは健一しかいない。
俺がずっと愛して来た美玲の身体を貪る健一と、俺だけを愛しているはずの健一に抱かれている美玲。
「愛してる……。ずっと愛してたよ美玲」
ずっと封印してきた愛の言葉。本当は健一よりも先に言いたかった。
気が狂いそうなほどの嫉妬に我を忘れ、滾る欲望を美玲の身体の奥深くにぶちまけた。
避妊なんてする気もなかった。俺の子を孕めばいいんだ。
俺の精力が続く限り、何度でも貫き、抱き尽くした。
薬のせいか、激しい情事の余韻のせいか、まだ動けない美玲に冷たく言い放つ。
「このことは黙っておいた方が身のためだぜ。俺も誰にも言わないって約束するよ。ああそれから、結婚式だけど出席できそうもない。急な海外出張が入ったからな。お幸せに……お姉さん」
海外出張は嘘じゃない。だけど式の日の二日前には帰国する予定だ。
サプライズでの祝いを準備しといてやるからな。
健一と美玲が永遠の愛を誓う結婚式で、俺も誓ってやる。
健一とも美玲とも『永遠に離れない』ってな。
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