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AM6:30
目的地に着いた。
車通りの少ない時間に、高速道路をとばして来た。
流石に人っ子一人いない。
そりゃそうよ、ここは名所と呼ばれる場所だもの。
[危険!立ち入り禁止]?
はっ!そんなもの、越えて行くに決まってるでしょ。
その為に来たのよ、立て看板を無視してズカズカとアスファルトから岩肌の上へと歩く。
ちょっと待って。
車の鍵は置いて行くべき?
車内には免許証と財布と遺書を残してある。
持って逝くなんて考えもしなかったから、置いたまま車は鍵をかけた。
だけど無断駐車よ?
展望駐車場だけど、持ち主が消える車よ?
邪魔でしょ。
車上荒らしにあったら嫌じゃない。
遺書もあるのよ。
だから鍵はかけたのだけれど……でも、鍵がなければ移動も出来ないわよね? 置いて逝くべき?
車を振り返り少しの間考えた。
駐車場には愛車の反対側の隅に1台駐車されたものがある。
結果、直ぐにレッカー移動に鍵の施錠有無は関係ないという結論に達して、そのまま歩く。
私が選んだ自殺場所、断崖絶壁。
切り立った崖のその前には静かに揺らめく大海原…………のはず……って、風が半端なく吹き付けてくる!
何これ?! 寒っ!!
しかも朝日が眩しい!
潮風が優しいって、嘘つきーっ!!
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