偶然か必然か

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「否定しないってことはやっぱり、守もそう思ってるってことだろ」   「お前もう黙れ」   馨が楓の耳を思いっきり引っ張って捻る。 「っちょ!捻るのなし!痛い!痛い!」   ぎゃーぎゃー騒ぐ楓と目の座った馨の子供のような行為に周りの客たちがくすくすと笑いを零す。 人目を引く容姿の彼らは何をしても注目を浴びてしまう。 そんな二人に対し守は恥ずかしそうに、そしてやはり苦笑いを浮かべ傍観を決め込んだ。 酔っているからか子供っぽい報復を行う馨が可愛らしく見える。   捻りを入れる辺り馨らしいが。 「いてー…」 ようやく解放された耳を取れてないか確認するようにそっと擦る楓。 「バ馨…」 楓は耳がちゃんとついてることにほっとして、横に座る酔っ払いを恨めしそうに睨みつける。 そんな楓を馨は鼻で笑い、再びグラスに口をつけた。
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