偶然か必然か

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「先輩!ちー姫!いらっしゃい」   駆け寄ってきた久しぶりの後輩の姿に良一郎は手を上げて挨拶をした。   「よう」   「しん君久しぶり」   千草はちー姫という呼び名に若干の照れを見せながらも柔らかい笑顔で迎えた。   ちー姫呼びは良一郎の仲間内から広がり、今では収拾がつかないほど浸透していて千草も初めのうちは恥ずかしがっていたものの、もう諦めていた。   しかし、久しぶりに呼ばれたそれはやはり恥ずかしいものだったようだ。   「ちー姫ホント久しぶり!わー相変わらずかわい…痛!」   「いいからさっさと案内しろ」   千草に今にも抱きつきそうになっていた瀬尾の頭を良一郎が殴りつける。   「…なんすか!折角ちー姫との再会を喜んでたのにぃ。せっかちな男はモテないっすよ!」   「生憎こんな性格でも十分モテてるから心配すんな」   殴られた頭を擦りながら、ぶーぶー文句たれる瀬尾を良一郎はにやりと見下す。   事実なので反論できない。
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