偶然か必然か

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  おもちゃが戻ってきたのだ。 今のうちといじりだす。   そんな楓に瀬尾はべーっと舌を出して応戦するがアダルト組の笑いを誘うだけ。   守はそんなやり取りをくすくす笑いながら、フルーツ型シャンパングラスにシャンパンを注ぎいれ、ドライフルーツにしてあるイチゴを浮かべる。   透ける薄ピンクのカクテル。 細かい気泡がシュワシュワとはじける。   浮かぶスライスされたドライフルーツのイチゴはさながら花びらのようだ。 「今はイチゴの季節じゃないからドライフルーツ浮かべてみたんだ。甘味が凝縮されてて美味しいんだよ」   浮かべたイチゴの花びらを興味深そうに見つめる瀬尾に守が言う。   「へ~綺麗っすね」   「食べてみる?」   一枚渡す。   「どうも……うまっ!」   口に入れた瞬間に瀬尾の目が輝いた。 「お二人も良かったら」   そんな瀬尾に微笑みながら、守は目の前に座る二人の男前にも小皿に数枚乗せてそっと差し出した。
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