偶然か必然か

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  「へぇ、美味しいもんだな」   「ああ、甘いな」   「でしょ~」   頷く二人に自慢げに胸を張るのは瀬尾。   「なんでそこでお前が自慢げになるんだよ」   馨が目元を酒に染めながらクスリと笑った。   色気が溢れる。   「…馨さんって酔ったらなんかやばいっすよね…なんかフェロモン駄々漏れ」   「はぁ?」   「新人、この色気に中てられんなよ。本物のホモになるぞ」   「え!!」 思わず体を仰け反った。   ケラケラ笑う楓は胡乱気な視線を向ける馨をさっぱりと無視する。   「じゃ、瀬尾君これお願い」   トレンチに乗せられた野菜スティックとツィラタールの瓶とカクテル。   変な空気になる前に慌ててカウンターを離れて行った瀬尾の後姿に三人は再び笑いが漏れた。   「飽きないな~」   楓の一言に同意のように二人はグラスを掲げ、三つのグラスはかちりと音を立てぶつかった。   その様はいたずらが成功した子供らのようだった。
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