既視感

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遠くで微かに音が聞こえた。   急激に浮上してくる意識に僅かにキモチ悪さを覚える。   目を開けても頭は未だに完全に覚醒していない。   ぐわんと回る世界に眉がよってしまう。   気だるい身体を無理やり起こして周りを見れば、一瞬、時間の感覚がなくなったかのように頭が混乱した。 次の瞬間には、自分が眠ってしまったのだと合点がついた。 薄暗くなった部屋、空気もすっかり冷たくなっていて、吐く息が白くないのが不思議なほどの寒さだった。   秋口といっても日が落ちてしまえば気温がぐっと下がる。   そんな季節になったのだ。   寝起きで、体温の下がった身体にそれは尚のこと寒く感じられた。 未だぼんやりと、ベットの上で座り込んだままの猛の耳に、覚醒の原因となった音が響いた。   決して小さくない音で来訪者の存在を告げる。   最初のチャイムからだんだんと早くなる、チャイムが鳴らされる間隔。   猛はいつかの日に同じようなことがあったなと、どこか人事のように考える。
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