既視感

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それから、どうしたらこんな汚く出来るんだとか、臭すぎるだとか、とりあえず換気しろだとか、雫に散々怒られながら部屋を二人して片付けることになった。   床に散乱していた服やゴミ、部屋を渦巻いていたヤニ臭さが消え、ようやく見れる部屋になったことに雫は満足し、いつもの定位置の猛のベットに腰を下ろした。   玄関と部屋をつなぐ僅かな廊下から洗濯機が回る音が聞こえる。   夜も深けてきたこの時間に回すのはどうかと言う猛の進言は、雫の黙れの一言に一掃されてしまった。   猛はインスタントコーヒーで甘いカフェオレと、自分用のブラックを作って、部屋へ戻る。   ドアを閉めれば廊下から聞こえる洗濯機の音が随分小さくなった。   ベットの上で疲れたように首を回している雫に暖かいカフェオレを差し出す。 「おつかれ」   換気していた部屋の空気は冷え切ってしまっていた。 「ホントお疲れどころじゃないわよ。こんなことしに来たわけじゃないってのに」   マグカップを受け取りながら不機嫌にそう言った雫に、猛はぐっと身体を硬くした。 そうだ、こんなことしてる場合じゃなかった。   雫がここに来たってことは自分の中で整理できたってことだよな   雫の思考はどこにたどり着いたのだろうか。 猛は手元に残ったブラックコーヒーの入ったカップを睨み付けた。   黒い水面に映る猛の顔は情けないことこの上なかった。   「で?」   床に座り俯いたままの猛の頭上から雫が問いかける。   で   それで。 それは相手に言葉を促す言葉。   しかしそう言われても猛は何を答えればいいのかわからなかった。   「え?」 でたのは間抜けな聞き返し。   そんな猛に対して、雫は大げさすぎるほどの大きく深いため息を吐いて、疲れたように眉間を揉んだ。
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