47人が本棚に入れています
本棚に追加
「っぶ!!」
笑った猛の顔にクッションがぶつかる。
投げつけたのは言わずもがな、雫。
「おっそいんだよ!だいたい順番が違うだろ!馬鹿」
クッションが視界から消え、見えたのは真っ赤になって涙目で叫ぶ雫の顔。
「は、はい」
胡坐をかいて座っていた足をすばやく正座に変え座りなおす。
「いきなりキスしてくるし、訳わかんないし、怖かったんだから!」
二つ目のクッションが飛んでくる。
「うん」
それを猛は軽々受けとめて膝の上に抱える。
「ず、ずっと一人で考えて、でもわかんなくて、あんたのことばっか考え、て」
浮かんでいた涙はすでに目からあふれ出し、とめどなく流れている。
「ん」
そんな雫を見つめながら猛は、不謹慎ながらもにやける頬を引き締めることに必死だ。
「な、に、笑ってん、のよ!」
会えなかったこの長い期間、彼女も同じように自分のことを考えてくれていたのだと思うと、嬉しさを隠せない。
「ごめん」
涙目で睨んでくる雫に、やはりどうしても笑みが浮かんでしまう。
最初のコメントを投稿しよう!