咲き誇る花、その彩りは美しく  華やかに変わりゆく

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一階のエントランスフロア 受付に向かって歩けば、背広姿の男性がこちらに背を向けて立っているのが見えた。 え…… その後姿に既視感を覚えて、千草は思わず立ち止まってしまった。   うそ…… そんな千草の姿を受付嬢が見つけて、その男性へ声をかけた。 そして、振り返る。 時間がゆっくりと流れた気がした。 「千草」 「……まこ…と君…」   ふわりと微笑んだ彼は二年前と少しも変わることもなく、そこに立っていた。   呆然と立ち尽くしたままの千草に、思わずくすりと笑みをこぼして、真は距離を縮める。 「眼鏡と髪型でずいぶんと印象が違うね」 「……え?あ、うん……そうかな」 いきなりの再会に混乱したまま千草は曖昧に返事をする。 気づけば真が触れるほど近くにいて、千草はさらに動揺し忙しなく眼鏡や髪を触る。 真はそんな千草を横目に、エントランス入り口に現れた人物に気づき、口角をくっと上げた。 その人物がフロアに飛び込んできた瞬間、その場が一気に騒がしくなった。 其処此処で上がる声。 注目する人の視線の先。 「……」 しかし、千草の意識はいまだ混乱と動揺に支配されたまま、それに気づくことはない。 真はさり気なく立ち位置を変えた。 それは千草を人の目から隠すように… 「…まだ話もしていないうちから邪魔されるのはいただけないからね」 つぶやいた言葉は周りの喧騒にかき消され千草の耳には届かなかった。
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