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本当に愛するという意味。
良一郎に対して
雫に対して
真に対して
少しずつ形は違えど、愛の種類は同じものだった。
それに気づけたのは、『彼』の存在のおかげ
恋が、苦しくて、自分を醜くしてしまうことを知った。
愛がどれほどまでに、渇望させるものかを知った。
そんな自覚した恋心と、愛情をもてあましている自分を真は見抜いている。
良一郎にも、真にもホントに
かなわない
「うん、見つけた」
愛してるという言葉の意味を
「……それはもう届かないけど…それでも自分で、見つけたから諦めたくない」
彼に伝えることが出来なくても、なくしたくない。
今はまだ、心から彼を祝福できるかわからないけれど…大丈夫。
真に向かってふわりと微笑む見惚れるほどの、その千草の表情に、真は心底がっかりした表情を見せる。
「……千草にそんな顔させる相手はさぞ幸せ者だね。だから…」
「きゃ」
握っていた手をくんっと引いて、
突然のことにバランスを崩してしまった千草が前に倒れこむ。
気づいたときには、
「多少の意地悪は許されるよね」
そう呟いた真の腕の中に閉じ込められていた。
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