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朝、目を覚ますとベッドにはまた自由だけが伸び伸びと横になっていた。
柔らかい布団にスリスリと顔を擦り付けて自由は眠りの余韻に浸る。
「ふぁ~……。腹……減ったぁ……」
大きな欠伸と共に自由がそう漏らすと、ベッドの足元側にある一人掛けソファに座って新聞を読んでいた男が呆気にとられながら「若ぇって怖いな……」と慄いた。
シャワーから出た自由はパンツ一丁でキッチンに現れた。
タオルで濡れた髪を荒っぽく拭きながらテーブルの上に置かれた郵便物に目を止め声をあげた。
「あ!」
「あ?」とキッチンで朝ご飯を調理している男がオウム返しで振り返る。
「見つけた! “葉山誠一郎”! 苗字、葉山って言うんだ?」
驚くほどにあっけらかんと笑って自由が告げるので、葉山は思わず口を開いたまま黙り込んだ。
そのリアクションに自由は不思議そうに首を傾げる。
「え、なに? 違うの?」
「…………やっぱ怖ぇわ」
「は? 何が??」
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