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track.1
──熱い、熱い……。
服を脱ぎたいのに手が動かない──。
うわ言が口から出ていたのか誰かが服を脱がせてくれた。冷たい手のひらが胸に触れて、気持ちが良かった。
首筋がくすぐったくて手を伸ばしたけれど、先に何かに当たって届かなかった。自分の指先が誰かの肌に触れた。
「…………ん……、なに……?」
耳元で誰かが何かを話している──。やけに瞼が重くて自由はちゃんと見ることが出来なかった。
「平気……?」
男の……、低くて甘い、良い声だと思った……。
何を聞かれているのかわからなくて、身体がふわふわと熱いことしかわからずに自由はただ頷いた。
「なら、良かった……」
霞んだ視界の隅で男が笑うのが見えた。それと同時に身体に電気が走るような痛みを感じて、自由は爪先をぴんと伸ばし、高い声で鳴いた。
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