第二話 『常識の勉強と魔法の練習』

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 でも……。  バグウェル家の人間が入門書を荷台に入れたってことは、つまるところレイの魔法はいまだその域にあるってことだ。  この歳にして入門レベル。  魔法が生活の根本にあるアスティアでは、それが普通なのか、はたまた遅いのか、ちょっとすぐには判断できないけど……。  ファンタジー世界の貴族ってさ、たとえ子供でも、幼少からの英才教育によってそれなりに魔法が使えるもんじゃないの?  俺の偏見か? ライトノベルの読みすぎか?  うーむ……なんだか不安になってきた。  もしも魔法の才能がなかったせいで、レイが伸び悩んでいたのなら、彼の身に憑依した俺も同様かもしれない。  最悪は、無能すぎてろくに魔法が使えないまま異世界ライフを送るハメになることだって無きにしもあらずだ。  悪名高きレイという足かせに、魔法不可の縛りまで加わる。  それはマゾい。  そしてマズい。  なぜなら。  俺が日本で最後に見た光景は――煌々と輝く大きな魔法陣だった。  状況的に、あれが《レイに憑依する起因》となったのは明らかだ。  それなら魔法によって真逆のこともできるのではないか?  俺の憑依状態を解除して、そのまま日本に帰ることも――     
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