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あ、うんの呼吸とはこう言う事を言うのだと思った。
父と母の仕切りで贈り物の目録が出来上がる。
「誰か、この目録と文を早馬でお蔵番の数馬の元へ」
父の号令でに使用人達が一斉に動き出す。
丁度姫を迎えに来た三条家の供の者に向かい大声で告げる。
「東雲の孝之が綾姫との結婚の申し込みに行くと伝えてくれ」
そう言うと俺と姫を見て優しく微笑んだ。
供の者達は慌てて都へと取って返す。
俺は迎えの牛車に乗り込む姫に都忘れの花を渡す。
「直ぐに迎えに行きます」
そう言って先に馬を飛ばし都への道を急いだ。
「さき、あの姫が三条家の綾姫だと何時気が付いたのだ?」
孝政がさきを覗く。
「あのこが里に遊びに来ていた頃かしら?」
「そうか・・
縁とは不思議なものよ。
だがあの姫ならば孝之の方が幸せになれる。
あの時はもう俺はお前に心を寄せていたからな。
もっとも、俺が姫のとの話を白紙に戻したなど姫も孝之も知らぬ筈だ。
もう昔の話だ今更あの二人に話す事もあるまい」
「そうですね。
母の見舞いのつもりが大層な宝物を手に入れました」
「そうだな。
後は孫の顔でも楽しみに待つとしよう」
孝政がさきを引き寄せた。
「旦那様・・」
さきは笑いながら孝政に寄り添う。
大原の里に雪が舞い落ちる。
側でさきの母が微笑みながら二人を見ていた。
三条家に着くと俺は手土産を並べる。
並べている俺でさえ見たこともないような異国の物が沢山あった。
「さすが顔の広かったそなたのお父上の集められた品よ。
あれもこれも、我が父が喉から手が出るくらい欲しがっていた品ばかりだ」
義篤様はそう言って目を見張る。
「我が東雲の先代は、手柄を沢山立てましたが欲がなくて、褒美にと頂いた物は全て今迄倉に眠っておりました」
お蔵番の数馬が自慢げにそう言う。
直に綾姫の父が部屋に入って来た。
贈り物を見ると嬉しそうに手に取って愛でる。
「父上、孝之どのに失礼です」
義篤様がそう父をたしなめた。
「良いのです。
気に入って頂いたなら良かった。
我が東雲家は三条家に比べれば格も下なれど、必ずや姫に恥じない男になりましよう。
そして姫を幸せに致します」
そう言って姫の顔を覗いた。
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