第15章 男はみんなこうするもの

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わたしはぎゅ、と密かに拳を握り気合いを入れた。ここから先、心が折れないように。 勇気出さなきゃ。 「綺麗…か、どうかは。あんま、自信ないけど。あの。…わたし、自分で脱ぐから。でも、軽蔑…しないで」 身体を捩るようにして彼の腕から身を振りほどく。腰を浮かして服のウエストに手をかけた。俯いて自分の膝ばかり見ている。 とてもじゃないけどこのシチュエーション。顔はあげられない。高梨くんの顔に浮かんでいる表情が怖い。 思いきってルームウェアの下と下着を重ねて一気に降ろした。心臓が半端なくばくばくする。脚先から抜いてベッドの下へ潔く落とす。これで全裸になった。 さすがに恥ずかしい。いきなり脚を開くとかはやっぱり無理。少し身体を縮めるように形ばかり腕で覆う。顔を伏せたままぼそぼそと小さな声で言い訳する。 「あの、自分からこんなことして。はしたないとか、品が…ない、とか。当然思うだろうけど、でも」 言葉が続かない。そう受け取られて当たり前なことしてるし。と思ったらじわ、と目の周りが熱くなった。どうしよう。 もう動けないかも。この先どうしていいかわからない…。 次の瞬間。わたしは熱い肌に包まれていた。頭を肩に押しつけられてぎゅうっと全身を締めつけられる。直接触れ合う剥き出しの胸から、高梨くんの大きな動悸がごとごとと沸騰するように響いてくる。 わたしは思わず震える息をついた。彼の滑らかな皮膚の感触が、気持ちいい…。 「そんなこと。…思うわけ、ないよ」 彼の手がわたしの頭を慰めるように撫でた。顔をあげると、綺麗な黒い瞳がすごく近い。真剣にこちらの目を覗き込んでいる。 「あの、自惚れてると思われる…。かも。でも、俺のために。…してくれてる、こと、なのかと。そしたら…、そんな風に、考えたり、しない。…絶対」 緊張のせいなのか、いつもより更に口が上手く回らないながらも必死に思いを伝えようとしてくれている。わたしはじんとなり、彼の頬に自分の頬を寄せた。 「高梨くんのためだけじゃないよ。…自分のためでもある。わたしが、こうしたいの。どうしても高梨くんとひとつになりたい。…あなたじゃなきゃ嫌なの」 「うん」 わたしたちはしばらく甘く唇を味わいあった。やがてわたしは肚を決め、彼に静かに切り出した。 「わたしのこと、信じてくれる?このあとどうしたらいいか、一生懸命調べたの。…一緒に、協力して」
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