第15章 男はみんなこうするもの

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細かく注文をつけながら自分のそれを手に取り、ふと理性が戻ったようにいつもの口調になって問いかける。 「あ、そうだ。せっかくこの状態の男のこれがここにあるからさ。ゴムかける練習に使う?彼氏きっとしたことないでしょ。自分で練習してみたこともないだろうし…。慣れてないと結構慌てるかも。君が一回体験しといた方がいいと思うよ」 わたしは全身の力が抜けた。なんでここでいきなりインストラクターに戻るかな…。 「緊張してると手がおぼつかなくなったりするしね。ほら、これ。パッケージ開けて中身取り出して」 本当に指示が具体的。わたしは麻痺したような頭でそれをのろのろと受け取り端に手をかけた。指先に力が入らず思うように切れない。 「うん、こういう状態になりがち。ちょっと貸して」 彼は気楽な口調で言い、わたしの手からそれを取るとぴり、と簡単に破って中身を取り出した。 「はい。いざという時慌てないようにちょっと端に切れ目入れとくか、鋏手近に用意しとくといいかも。じゃ、それをここに被せて。あまり乱暴に握ったり爪を当てないよう気をつけてね。前も言ったけど男のここはすごくデリケートだから。彼氏のだと思って優しく扱って。予行演習だよ、これは」 差し出されたそれに怖気がこみ上げる。さすがにこれは、ちょっと。経験ない身には、好きでもない男のは本当に、心の底からきつい。それでも言ってる内容が完全に間違ってるとは言い切れないので大人しく試みる。…うう。 なんか、生あったかい感触。死ぬほどきっつう。本当にこれが高梨くんのなら愛おしく感じるのかな。そうだとしたら人間の認識力って不思議だ。 「…あぁ」 わたしが恐るおそる触れると一瞬身を震わせて甘い声を出したのが気持ち悪かったけど。何とか無事に作業は済んだ。もう二度と好きな人以外の男の身体には触れない、と心の奥で誓う。 「…ん、上手にできたよ。いい子だね。一度触ったらもう怖くないでしょ。せっかくだから口か手でやる練習もしとく?なかなかこんな機会ないよ」 気軽になされた提案にわたしは震え上がった。 「いえあの。…無理です、絶対むり」 「勿体ぶるなぁ。今更どうってことない気がするけど。…まあね、初めての筈の女の子があんまりフェラうま過ぎとかも違和感半端ないか。そこは慣れてからお互い練習しつつ追い追いかな。
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