きみとぼくとそれから林檎

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 それがわたしには不思議と嫌ではなくて、こうして過ごす時間もなかなかどうして、居心地がいいのだ。 「やっぱりわたしは林檎でいこうかな」 「……好きにしろ」  ふふ、と笑みがこぼれ、わたしはペンを握った。  ――そうだな、例えば。例えばこんなのはどうだろう。  白くつややかな頬をほんのり赤く染めてはにかむその子はまるで林檎のようで、はて甘いだろうか酸っぱいだろうかと、そんなことを考えてしまうぼくは、  たぶんきっと、恋をしている。  了
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