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俺はゴールを出て、一息つく。
月32,160円のワンルームタイプのアパートは15㎡しかない。狭いなぁ。離婚して一人暮らしになってから、このアパートに引っ越しをしたのだが、壁は薄いし、床は軋むし、なんだか湿気でカビ臭いしで、快適だとはとても言えない。
只今の時刻は午前5時40分。「光の一切を遮る」と説明書に書いてあった黒の遮光カーテンは、その能力を発揮するまでもなく、屋外、室内共に真っ暗である。俺はTシャツとトランクス姿でカーテンを開けた。目の前にあるのは、誰もいない30㎡の公園と無人駅である。唯一このアパートの利点は駅近が近いだろうか。「おっと忘れていた。」俺は付け加える「メリットは駅近と安さだ。」
俺は左手で頭を抱える。ため息もでる。トランクスのゴム紐は緩み、ケツの上が少しでている。
「はぁ。ハローワーク行かなきゃ…。」ため息混じりに俺は言った。
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