プロローグ

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『そう言いますけど、ホームズさんこそモテるんですから、私だって心配ですよ』 『いえいえ、僕はモテませんよ』 また、そんなことを言って、と苦笑する。 これまで、ホームズさんに憧れを抱いていたり、『いいな』と思っているであろう女性に何人も出会ったことがあるのだけど。 とはいえ、彼は強固な壁で自分を覆っているところがあるし、『モテる』まではいかないのかもしれない。 『万が一モテたとしても、浮気なんてしませんのでご心配なさらず』 『……本当ですか?』 『ええ、ひと時の快楽であなたを失うかもしれないリスクを背負うなんて、絶対にごめんですから。そんな間違いは犯しません』 真顔で言い切るホームズさんに、心臓が強く音を立てて、言葉が出ない。
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