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「そやけど、オーナーが店頭に立つことになったのに、どうして壊滅的な人手不足なの?」
「……結局オーナー、あまり店に来なくてね。
店長が一人で店も大変みたい。利休くんも受験生だし、なるべく私が手伝いに入らないと」
「やっぱり、『蔵』には、なくてはならない人やね」
香織は、ぷっと笑う。
それはどうだろう、と笑みを浮かべながら首を傾け、
「それより、早く教室に行こうか」
「うん」
桜の花びらが舞う中、私たちは弾んだ足取りで、玄関に向かう。
それは、新たに迎えた春の日の出来事。
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