イノセントダーティー

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 30分後、コンビニを出た。さすがにもういないだろう。すぐ帰ると言っていたのだから。それなのに、彼女はまだいた。さっきと全く同じ場所に。  心配になって、今度は恐る恐る彼女に声をかけた。 「あの、余計なお世話ですいません。まだ帰らないんですか?」 「あなたに関係ないですよね。放っておいてくれますか」 「そうなりますよね……」  見ず知らずの男を相手に警戒するなって方が無理だ。  裏通りにたしか交番があったし、この人一人でも大丈夫かな? 「それじゃあ、俺はこれで」  踵を返した時、ぐううと盛大な音が鳴った。静かな街頭に二人きり。それは紛れもなく彼女の腹の音だった。  ツンケンしてるけど、やっぱり彼女も普通の人なんだなと、やけに嬉しくなった。隙のなさそうな雰囲気に反して無防備な感じというか。それがとても可愛く思えた。  さっき買ったばかりのミルクティーとショートケーキを彼女に差し出す。 「これ、よければどうぞ。あ、買ったばっかなんで綺麗だし毒とかも入ってないんで」  これ以上不信感を持たれないようにするためのセリフだったんだけど、それは意外にも彼女にウケた。 「毒って! あはは! 面白いこと言うね」     
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