イノセントダーティー

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「面白いですか? よかった……です?」  彼女の笑顔で、瞬く間に空気が柔らかくなった。緊張していた気分もほぐれる。笑った彼女の顔も可愛かった。甘いドキドキ感が胸に広がる。 「ありがとう。ごめんね。昨日から何も食べてないの……。ありがたくいただきます」  飲み物とケーキを渡す時、一瞬だけ彼女と俺の指先が触れた。彼女の指はとても冷たかった。この人は俺が通りかかる何時間も前からここに座っていたのだろうか?  放っておけない。俺は彼女の隣に腰を下ろし、彼女が帰る気になるまでトコトン付き合おうと決めた。 「昨日から何も? それはお腹空きますよっ。他にも何か必要な物があれば言って下さいね。お金まだあるんで」 「ありがとう。でもこれで充分だよ。学生にお金使わせるわけにいかないから」  大人っぽい口ぶりに反し、ショートケーキを一口食べると子供みたいにうっとりした顔になる。社会人なのだろうか? 「働いてるんですか?」 「うん、一応。短大出てからカフェ勤務。まだ1年目だけどね」  ということは21歳くらいか。やっぱり年上。 「ああ、なんか分かります。カフェっぽいですよね」 「カフェっぽいー? そんなこと初めて言われたー。名前は?」 「マサです」 「マサね。私はアオイ」     
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