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教室内がざわめく。
当然と言えば当然だ――。
金髪の妙な男が立ちすくむ男の髪を
執拗に撫で回しているのだから。
だけど彼の方は肝が座っているのか
周囲を気にする様子もなく。
「まず、出ましょう……」
気まずさと動揺から慌てて促したのは僕の方だった。
「おや、急に大胆になった」
道化師みたいにおどける彼の手を引いて
早足で廊下を行く。
まだ心臓がどきまぎしていた。
「……あなたは?」
何から聞いていいかも分からない。
「何が聞きたい?」
突然にして
僕が何ヶ月も探し求めていた答えの片鱗が
目の前に現れたのだ。
「とりあえず……名前を教えて下さい」
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