第1章

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「そんなのあたりまえじゃないか」 もともとそういうところのある人だった。 純粋というかすれていないというか。 近づきがたい流麗な見かけにそぐわぬ 気の抜けた愛嬌。 「そう思う?」 元は人見知りで控え目な性格なのだが 心を開いた人間には時折子供みたいな愛らしさを見せる。 「孔雀には孔雀の羽が生えてるさ」 言ったものの。 実際暗がりでそれを手に取るとたしかに。 手触りは妙にしっとりと冷たく 鮮やかな色合いも 目玉のような文様もひどく不気味で。 背筋にゾクリと冷たいものが走ったのを覚えている。
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