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響也はしかつめらしい顔をして僕の肩に頭を持たせかけた。
「――汐里の匂いする」
そのまま――甘えるように鼻先を摺り寄せる。
「やめろよ。まだシャワーに入ってないの」
「別にいいさ。水疱瘡で3日入らなかった日も知ってる」
いつものことだった。
僕ら兄弟は昔から本当にものすごく仲が良かった。
片時も離れずにいても疲れなかったし。
互いにとって互いの空気が心地のいいものだった。
「愛してるよ、汐里」
それに響也はことごとく口に出してそう言った。
「――知ってる」
てらいもなく答える僕もごく自然と兄の愛を受け入れていた。
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