第1章

6/26
前へ
/26ページ
次へ
もちろん境界線はあった。 「お兄ちゃんにキスして――」 「響也」 自分たちなりの境界線。 「ハグして親愛のキスを」 「はいはい」 熱のこもった抱擁も 時折冗談めかして唇を掠めるキスも 「ああ、可愛い僕の弟だ」 「あのね、僕もう十八だよ?」 あくまで兄弟愛の範疇で それ以上でも以下でもないと――。 「僕はじき二十歳になる」 「中身は子供のまんまだけどな」 「なんだと?お兄様にむかって!」 「バーカ」 言い聞かせ始めたのはいつからだったろう。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

163人が本棚に入れています
本棚に追加