闇に潜むモノ

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「これは、今から18年前、私達が新婚旅行先で、神奈川県鎌倉市に行ってきた時の、恐怖体験です。 その頃、私は大河ドラマの「太平記」に夢中になり、鎌倉市に歴史探訪がてら行くことになりました。太平記ゆかりの地だけあって、探訪する箇所は多くあり、私達は数日宿泊する心づもりで来ていました。 その歴史探訪の中に、今にして思えば二度と思い出したくもない、名前すら聞くのも嫌な、北条高時腹切りやぐらがあったのです。 鎌倉駅からすぐ近くには、北条氏屋敷跡だった一部分が、宝戒寺として建っています。 そこから10分ほども歩いて行くと、小さな橋があり、そこを渡ると、かつて北条氏一族の菩提寺があったと言われている、東勝寺跡がありました。 辺りは既に松林となっており、左右の松林の中央に道が一本、山裾まで続いていました。 東勝寺に火を放ち、870有余名が自害して果てた、鎌倉幕府滅亡の地である東勝寺跡。 この一本道を進んで行くと、十数段ほどの階段に突き当たります。 その階段を上りきった左手に、例の、北条高時腹切りやぐらがあったのです。
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