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みんながそれぞれ友達と楽しそうにおしゃべりしたりする中
一人、つまらなそうに椅子にもたれかかり、窓の外を眺めている男の子。
浅黒い肌、鋭い目、短く黒い髪。
長い足をもて余すように投げ出し座る様は、とても同級生とは思えないくらい大人びて見えた。
(……浪江、くん)
浪江、……確か下の名前は遠矢。
5年生で初めて同じクラスになったけれど、彼と話したことは全くない。
粗暴な態度や言動が目立つ彼は、クラスメイトから避けられていた。
1年生のときに転校してきたのだったと思うが、当時から気に入らないことがあると相手を平気で殴ったりしていたらしい。
…触らぬ神に祟りなし、だ。
みんな殴られたりすることを恐れて近づこうともしない。
うちのクラスでは完全に浮いた存在だ。
……まあ。私も浮いてるけどさ。
とにかく、今回の盗難事件。
私は……いや、私だけでなくおそらく先生も他のクラスメイトも、浪江くんを疑っている。
普段の問題行動。
そして、……ときどき伝わってくる彼の家庭環境。
生活に困窮していること。
いつもほとんど同じ服で、上履きはボロボロで…
そんな姿を見ていると、疑いは確信に変わっていく。
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