走馬灯ジャンパーは回さない

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えっ、いま彼女に結婚を告白したのに運が悪いと言うのは理不尽だって? きみは世の中を分かっていないよ。幸福と不幸は紙一重、コインの裏表だと知るべきだ。 気まぐれな神様がトスして、表がでれば幸福、裏がでれば不幸。ただそれだけ。 達観しているわけじゃないよ。実経験から言ってることさ。ぼく程それを知っている者はいないからね。 「イケない、もう電車の時間だわ」 「電車じゃなくて、少し歩こうか」 「そうね。空がキレイだから歩きましょう」 ぼくはマナミを連れだって駅を通り過ぎる。 前々回はここが岐点だったから。 この駅で乗った電車が脱線して大事故になった。 それが原因でジャンプしたんだ。 ぼくは走馬灯ジャンパー。 死を覚悟した瞬間に走馬灯が回り、人生の思い出深い過去の場面にジャンプする能力がある。 ジャンプすると言っても、それは心と記憶が跳ばされるだけなんだ。 跳ばされた過去は、走馬灯が回った未来と同じ時間軸にはない。つまり、ぼくが跳んだことで過去が変わるってことさ。 だから賭け事とか株で儲けることはできない仕組み 跳ばされずに残った体はどうなるのかって?
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