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もちろん死ぬんだろうね。人間は死を避けられない運命にあるから。
ぼくは死のギリギリで走馬灯を回して、幾度となく過去に跳ばされてきた男。
でも、それも疲れてきたよ。なぜならば、大事な人を残してジャンプするのは、心が引き裂かれそうに痛い。
「ねえ、ホットポテト理論って知ってる?」
だしぬけにマナミが訊いた。
「料理のレシピみたいなものかい」
「違うわよ。ホットポテトは子どもの遊びよ。アメリカの子どもが輪になってポテトを回し、音楽が止まった時にポテトを持っていた子どもが罰ゲームをするの」
「ババ抜きやハンカチ落としみたいなものか」
それがどうしたの、とマナミの横顔を窺う。
「それが最初から“決められた”人に落ちるって理論なの」
「最初から……!?」
「集団ゲームでは、周りから“運の悪い”と見なされている人が負けるようになっているんだって」
「へ~え、そうなんだ……」
それは興味深い。ぼくのことを指しているみたいだ。
もっともホットポテトを回すのは、子どもじゃなくて神様だけどね。
きっと運命の神様が、ぼくを運の悪い男と見なしてホットポテトを落とすんだな。
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