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そのホットポテトは、走馬灯ジャンパーという能力。呪うべき不幸のチカラだ。
「マナミ……」
ふいに彼女の手を握った。振り子のように揺れる心で視界も回る。
「どう……したの?」
マナミが戸惑った表情を浮かべる。横断歩道を渡る道の途中で抱きしめたからだ。
その横を大型トラックが轟々と音をたてて通過する。
前はここで走馬灯ジャンプしたんだ。
トラックの轟音。マナミの悲鳴。肉がひっしゃげる音。
今でもまだ、耳にはっきりと残っている。
(またギリギリで違う未来を選んでしまった……)
彼女の温もりを感じながら、胸がずきんと疼いた。
この先には違う死の未来が待っているのか。
(ぼくは……なんて運が悪い男なんだ……)
また神様がホットポテトを落とした。
でもマナミの顔を見たら、胸の奥から言葉がもれる。
「……ありがとう」
たとえ神様がホットポテトを回しても、この瞬間は間違いなく幸福なんだ。
ぼくは最愛の人を見て、それを痛いほど実感した。
「ふふ、わたしがカケルのプロポーズを受けたワケを知りたい?」
「ど、どうしてだい?」また手を握る。
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