1滴目 Vampire's Legend

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 人間の体には、生命の源と呼ばれている「海」の水が存在している。  そう ―――― 『血』。  人間の体重の約13分の1を占めると言われる『血液』である。 「生物の血液はもともと海水だった」といわれるほど「海水」と血液のミネラルバランスは似ている。その類似性は、人間の血液に溶けている元素の種類と「海水」に溶けている元素を比較すると一目瞭然である。また体の中をめぐる組織液のミネラルバランスも「海水」に非常に酷似している。その組織液も血液中から作られ、流れる血液によって全身に運ばれるのだ。  まさに体内を流れる神秘の水『血液』。  だから『血液』に魅力を感じる者は多い。血液は昔から神聖なものとして崇められてきた。  教会ではキリストの体に見立てたパンを食べると共に、キリストの血に見立てた赤ワインを飲み、贖罪を清めるのだ。  そして血液は、高栄養の液体である。そのため、これを食物とするのは不思議なことではない。  動物では蚊やアブ、ノミやシラミ、ダニやヒルなど、多くの昆虫が血を栄養源として利用する。  人間では、イヌイットがアザラシなどを仕留めた時、その血液が貴重な栄養源としてその場で飲まれる。また西洋の料理ではブラッドソーセージ、血のプディングなどがあり、中国や東南アジアでは豚の血を固め豆腐状にしたものをスープや麺料理などの具に用い、韓国では牛の血を同様に用いる。沖縄ではチーイリチーと呼ばれる血の炒り付けが食されている。地域によっては、薬用を兼ねてスッポンの血や蛇の血を飲む風習もある。  そして、伝説・フィクション上には「吸血鬼」などの妖怪に、人の生き血を吸う伝承がある。
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