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個室の壁には優秀な兄貴がいた残骸が散りばめられていた。 Σ、Ω、i、などの文字から漢文の変換出来ない文字から28400と謎の数字からギザのピラミッドまで壁紙に殴り書きされていた。 毎日のことだから慣れたとは言え微妙にプレッシャーを感じるのは致し方あるまい。 だが、今は大学の寮にいる兄貴だって海外には行ったことはないんだ。 兄貴を超えてやる。 兄貴が書いた文字に思いっきり力任せにスリッパを投げつけた後に水を流して個室を後にした。 涼やかな顔をして母親に言った。 「もう時間がないから退学するわ」 初めは冗談だと思っていたらしいが本気だと分かると母親は慌てふためいた。 「お父さんに言ったら怒られるから……」 何度もそう言った。 同じことばかり言う母親の言葉を聞いてるうちにウザったく感じた。 「もう決めたことだから、どうにもならないよ」
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