忙しい人のための かれん

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忙しい人のための かれん

1  春、古川真琴は希望を抱き両親の母校である広北大学の教育学部に入学した。  学生生活の滑り出しは順調、学科では「三中」と揶揄される仲良し女子3人組で行動している真琴は、卓球サークルで清川理沙という親友を持ち、同じサークルの1年生、島田直道に密かな想いを寄せていた。  夏休みの終わり、9月28日にアパートに戻った真琴は後期の履修手続きを済ませスマートフォンの多機能アプリ「カレン」で時間割を登録しようとするが「メンテナンス中」と表示される。  そしてその夜、メンテナンスが終了したカレンを起動した真琴の目に飛び込んできたのは、息を荒くして自慰に耽る自身の姿だった。  メンテナンス後のカレンは、SNS機能が廃止され匿名掲示板が設けられるなど従前とは一変しており、カレン運営が数年に渡り仕掛けた周到な罠で真琴と同様に多くの学生のプライベートが人質となっていることが判った。  そうしてカレン運営は、カレンユーザーに付した「徳」と「業」という2つのステータスで学生を翻弄しにかかる。
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