レンタル桜

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 桜の木が足を止めた場所は、父ちゃん母ちゃんといつも遊んでた近所の公園。 「ここでお花見するの?」  そう聞くと、桜の木は嬉しそうに枝を揺らした。  音を立てて大きな風呂敷が落ちてくる。  中には春を彩った豪華な料理と、キラキラと光るジュースやお酒が入っていた。  もう一度、桜の木は枝を揺らす。  今度は花びらが集まって、桜の絨毯が現れた。  フワフワと柔らかい花びらの絨毯に座り、ジュースを片手に美味しい料理を食べる。 「美味しいね!」 「ああ、美味しいな!」  お酒で顔を赤くする父ちゃんは上機嫌。気がついたら僕も笑顔になっていた。  そんな楽しい時間が暫く続くと、父ちゃんは横になって寝息を立て始める。  それに気付いた桜の木が枝を振った。  今度は花びらの毛布が父ちゃんの体を覆って行く。  それが僕には、母ちゃんが毛布を掛けてくれた様に感じたんだ。
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