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「ねえ、桜の木……さん? あなたは誰ですか? もしかして……」
僕は桜の木に抱き付いた。
震える枝で、優しく包み込んでくれる桜の木。
僕の頭や背中に、ポタリポタリと温かい滴が落ちてくる。
……
……
……違うんだね。
泣かないで。
ゴメンね。
僕は大丈夫だよ。
だって、ほら。
後ろを見て。
……
……
母ちゃんが、笑ってるよ。
だから、お姉ちゃんも笑ってよ。
僕も笑うから。
絶対に心配かけないからさ。
……
……
花びらに包まれて、僕は絨毯へと押し戻されてしまった。
フワフワとした花びらのお布団は気持ち良くて、瞼が閉じてしまう。
あれっ?
父ちゃん……起きてるの? 父ちゃんの声が……聞こえて……
……
……
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