episode1

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ーカランカラン 「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」 出口のドアに付いたベルの音に、慌てて飛び出し 門扉まで出て、最後のお客様をお見送りした。 市外にある、お洒落なイタリアンのダイニングバー。 ここで働き始めたのは半年前だ。 シェフの一宮さんが、僕がバイトしていたボーイズバーに、ふらっと入ってきて いきなり声を掛けられた。 「今、バーテンダー探してるんだけど、君やってみない?」 なんだこのイケメン? 急に何言ってるんだ? そう思ったものの、 店の客と2人で会ってるのを、系列店の店員に見られ 店長に問い詰められたりと 少し面倒な事になっており そろそろ辞めてしまおうかと思っていたところだった。 ちょうど良いかもしれない。 話を聞いてみれば、 割と普通のイタリアンのダイニングバー。 モーニングからランチ、アイドルタイムを挟んでディナーを営業しているそうで、 僕はディナーのバーテンダーとして雇いたい、との事だった。 店の場所も自宅からも電車で3駅で、今の店より近い。 なんで僕なんだ? という気持ちは強いが、渡りに舟。 一度店に来てから決めて良い その時にオーナーにも顔を出させるから、 考えてみてとの申し出に、 了承の返事をしていた。
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