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ーカランカラン
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
出口のドアに付いたベルの音に、慌てて飛び出し
門扉まで出て、最後のお客様をお見送りした。
市外にある、お洒落なイタリアンのダイニングバー。
ここで働き始めたのは半年前だ。
シェフの一宮さんが、僕がバイトしていたボーイズバーに、ふらっと入ってきて
いきなり声を掛けられた。
「今、バーテンダー探してるんだけど、君やってみない?」
なんだこのイケメン?
急に何言ってるんだ?
そう思ったものの、
店の客と2人で会ってるのを、系列店の店員に見られ
店長に問い詰められたりと
少し面倒な事になっており
そろそろ辞めてしまおうかと思っていたところだった。
ちょうど良いかもしれない。
話を聞いてみれば、
割と普通のイタリアンのダイニングバー。
モーニングからランチ、アイドルタイムを挟んでディナーを営業しているそうで、
僕はディナーのバーテンダーとして雇いたい、との事だった。
店の場所も自宅からも電車で3駅で、今の店より近い。
なんで僕なんだ?
という気持ちは強いが、渡りに舟。
一度店に来てから決めて良い
その時にオーナーにも顔を出させるから、
考えてみてとの申し出に、
了承の返事をしていた。
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