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そして誰もいない教室のドアを開け、お互い視線を逸らしたまま、各々の席へと座った。
ライアが来るまでの間、どちらも口を開こうとはせず、視線も合わさない。
受け入れたくない現実に、お互い掛ける言葉がないのだろう。
重苦しい空気が流れる中、教室のドアが開かれた。
入ってきたのは、ライアだ。
「…起立、きおつけ、おはようございます」
日直のドニーは号令を掛けた。
しかしいつもより元気がない。
それに気付いたライアは、非難するような視線をドニーに浴びせる。
「着席」
溜息混じりにそう言うと、ドニーは力無く椅子に腰掛けた。
「ドニー君、今日は病気でもしてるの?」
眉をぴくぴく痙攣させ、ライアは尋ねた。
「…してません」
「じゃあなんですか!?その元気のない掛け声は!」
毎日感情が違うライアは、どうやら今日はヒステリックな日のようだ。
ドニーが返事をせずに、俯く中、リアンが口を開いた。
「…先生…先生はドニーが転校すること知ってたんですか?」
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