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部屋の中にはあまり見ない光景だが、ロープと木で作られたブランコが揺れている。
ドニーはリアンと一緒に作った、その思い出のブランコに乗り、口を開いた。
「リアン、ピアノ聴かせてくれよ」
「うん」
リアンはゆっくりとピアノに近付くと、鍵盤に指を這わせた。
そしていつものように、アップテンポなリズムの曲を奏でる。
ドニーはブランコをメトロノームのように揺らし、リズムをとっている。
そしてリアンは曲調を、悲しいものへと変化させた。
ブランコを揺らしていたドニーの目からは、自然に涙が溢れ出していく。
その思いと同じリアンも、ピアノを弾きながら涙を流した。
二人だけを包む悲しいメロディーが、秘密基地に響き渡る。
そしてそのメロディーは、突如終わりを迎えた。
演奏を止めたリアンの元へ、ドニーは駆け寄った。
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