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あの酒とは、フェルドの前の代の、酒場のマスターだったエルラが大好きだったウィスキーの事だ。
エルラの命日に、街を去った昔の常連客も戻ってきて、酒場でエルラの好きだったウィスキーをもうけなしの無償で振る舞う習慣が毎年行われているのだ。
今日がそのエルラの命日だった。
リアンが酒場に着いた頃には、もう、夕方になっていた。
「…リアン!!」
酒場に入ったリアンを、昔の常連客が呼んだ。
「ん?どうしたの?」
「マスターが屋根から落っこちて、足を折って、今病院にいるぞ!!」
「えっ!!」
リアンはウィスキーを置くと、慌てふためきながら病院へと急いだ。
病院に着いたリアンは『本日休業』と書かれているドアを叩き続けた。
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