大怪我

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リアンは老人の方を見た。 その老人は、昨日酒場に来ていた、あの老人だ。 「…どうも、こんにちわ」 リアンは頭を下げ、挨拶をした。 そしてリアンが頭を戻すと、老人は涙目を浮かべていた。 「…こちらはフェルドのお父さん…つまり、お前のおじいちゃんだ」 言い終わるとジャンは唇を噛み締めた。 そうしなければ、涙が溢れ出てきてしまうのだろう。 さっき程までのジャンの元気は、演技だったのだ。 「…おじいちゃん?」 リアンは頭が一瞬、真っ白になった。 「…フェルドの息子のリアンだね」 老人はわなわなと震える手で、リアンを抱き寄せた。 「…おじいちゃん」 リアンは抱かれながら呟いた。
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