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「…お願い致します…私は息子の夢を踏みにじり、ずっと後悔して生きてきました…しかし、息子は私が謝る前に死んでしまっていた……だから息子の代わりに私の手でリアンを育てたいのです」
マドルスはそう言いながら、また札束をジャンに渡そうとした。
「…だから、いりません…」
暫く、二人の間に沈黙が流れた。
ジャンはその時、考えていた。
自分が育てるのと、マドルスが育てるのでは、どちらがリアンにとって幸せか。
マドルスならリアンのピアノの才能を伸ばしてくれるはずだ。
そしてマドルスは何不自由無く暮らせるだけの金はあるだろうし、何より世界的に有名なピアニストだ。
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