ギリギリ！

「にょおぉぉぉぉぉぉ！？」

思わず奇声をあげてしまった。

………あぁ、なんて事だ！？

── 一瞬にして、安堵は絶望へ変わった。

間に合ったと油断したのが悪かったのか！？

ギリギリ！

ほんと後ちょっと！
ほんの３秒、ほんの半歩前に立たせていれば！！

……… ﾊﾟﾝﾂをｽﾞﾎﾞﾝと一緒に乱暴にずり下ろしたのが悪かったか！？

─── 息子のｽﾞﾎﾞﾝもﾊﾟﾝﾂも汚れてしまった。

否、それどころか………。

私は哀しみの余り、咽び泣きながら──

── 水溜まりを作り、汚してしまった床を、次に使用する人に不快な思いをさせない為に、便器を出来るだけ綺麗に拭いた。

そして、私は解放感溢れスッキリとした表情の息子と手を繋ぎ、ﾄﾎﾞﾄﾎﾞと着替えを取りに一度、車へ戻った。

ｸｿｯ！だから家出る前にﾄｲﾚ連れて行ったのに！！

笑っていられるのは今だけだ！！
予防接種で泣くが良い！！

── 心の中で大人気なく、こっそり醜態をさらしたのは息子には内緒だ。